介護を目的としてリフォームを検討する中で「本当に浴室までリフォームが必要?」と疑問に感じている人もいるでしょう。
しかし、浴室は家の中でも高齢者の事故が多い場所です。

今回は、介護における浴室リフォームの必要性や浴室でのリスク、浴室リフォームの具体例などについてご紹介します。
浴室リフォームを検討している方は、ぜひ参考になさってくださいね。

なぜ介護に浴室リフォームが必要なのか

入浴は、日々の生活に欠かすことのできない行為です。
身体を清潔に保つことはもちろん、ゆっくりとお湯に浸かることで身体が暖まりリラックス効果も得られます。

ところが介護が必要になってしまうと、入浴行為は介護する側にもされる側にも大きな負担となり、中には週に数回シャワーだけという習慣になってしまう人もいます。

利用する人のスタイルに合わせた浴室環境にリフォームすることで、そういった状況を改善させることが可能となるのです。

浴室に潜む介護のリスク

健康な人であれば当たり前に行える「入浴」という行為ですが、介護が必要な高齢者にとっては、浴室は家の中でもとくに危険の多い場所です。

ここでは、浴室で起こりうる事故やリスクについてご紹介します。

リスク① 転倒

浴室内の事故で最も多いのが転倒です。

湿度の高い浴室では、床に加えて支えとなる壁や浴槽の淵なども非常に滑りやすくなっています。
普段はある程度歩けている人も、水やお湯で濡れた床となるとバランスが取りにくくなり、一気に転倒のリスクが高くなるのです。

入浴中は一切クッションのない状態で硬い床に身体を打ち付けることになるため、骨折や脳挫傷など大きな事故になる可能性があります。

リスク② 浴槽での沈み込み

あまり知られていませんが、高齢者が入浴中に溺れる事故が多発しています。

水位が低いため介護者も油断しがちですが、入浴中に意識障害を起こしたり、うっかり転倒して浴槽に沈み込んでしまうというケースは珍しくありません。

それも長い時間放置したわけではなく、5秒や10秒ほど「ちょっと目を離した隙」に事故が起こるのです。

リスク③ ヒートショック

寒い時期に多いのがヒートショックによる事故です。

ヒートショックとは、温度差によって血圧が変動することで生じる現象で、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に入り、浴槽で一気に身体を暖めるといった温度変化が原因で起こります。

ふらつきやめまいにより転倒したり、重度の場合は失神や心臓発作を引き起こす可能性もあります。

リスク④ やけど

高温のシャワーやお湯によるやけども、起こりやすい事故の1つです。
気付かないうちに設定温度が高くなっていたり、操作を誤って熱湯を浴びてしまうことがあります。

高齢になると皮膚の感覚が鈍くなり、やけどを負っても自覚がないことがあるため、とくに介護者のフォローが必要です。

介護に有用な浴室リフォームの方法

実際、どのような点に注意して浴室をリフォームするべきなのでしょうか。
リフォームにおすすめの場所と方法についてご紹介します。

方法① 出入り口

バリアフリー住宅と同様、浴室の入り口も段差がない方が安全です。
高齢になると足が上がりにくくなり、ほんの少しの段差でも引っかけて転倒する可能性があるのです。

また、出入口と聞くと床にばかり目を向けてしまいがちですが、扉も重要です。
折戸の場合、引き戸に変更することで、間口が広くなり、出入りしやすくなります。

方法② 床の材質

床を張り替えることで、濡れていても滑りにくくすることができます。
とくに古い浴室の場合、床がタイル張りとなっていることもあるでしょう。

タイルは水はけが悪く、転倒のリスクが非常に高くなります。
最近は水はけがよくクッション性の高い材質も増えているため、リフォーム時は床の材質も合わせて変更するのがおすすめです。

方法③ 浴槽

転倒リスクを減らすためには、浴槽の高さを変更するのも1つです。
一般的な浴室は高さが60cmほどあり、高齢者にとってまたぐのに負担がかかります。

そこで浴槽を1/3ほど埋め込んでしまうか、段差となるステップを設置するのが有効です。
また、浴槽の淵を幅の広いものに変更することで、一旦座った状態で浴槽に入ることができます。

方法④ 手すり

出入り口付近や浴槽付近、浴槽内に手すりがあると安全性が高まります。
普段は介助が必要な人も1人でできる作業が多くなり、介護側の負担を減らすこともできます。

さまざまな材質や長さ、形状の製品が発売されているので、場所と用途に合ったものを選びましょう。

方法⑤ 浴室暖房乾燥機

浴室の内と外の気温差を小さくするために最も手軽なのが、浴室暖房乾燥機を設置することです。
大掛かりな工事が必要なく、全体をリフォームすることを考えれば半分以下の費用で済ませられるのもメリットです。

雨の日は浴室に洗濯物を干すことも可能なので、浴室だけでなく暮らしが快適になるでしょう。

介護のための浴室リフォーム費用を抑えるには

浴室リフォームの費用をできるだけ抑えるためには、製品のグレードを下げて考える、大手メーカーを避けるなどいくつか方法があります。

しかし、最も有効なのが「高齢者住宅改修費用助成制度」です。
家族が要介護あるいは要支援認定を受けている場合、バリアフリーのために行うリフォーム工事において、費用の9割が助成される制度です。

上限は20万円と決められていますが、例えば20万円かけてリフォーム工事をした場合も支払いが2万円で済むため、これを利用しない手はありません。

この他に、各自治体が独自で行なっている制度もあるため、まずは住んでいるエリアの介護保険課に問い合わせてみましょう。

浴室リフォームでリスクを減らしてみんなが安心できるお風呂に

いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、介護における浴室リフォームの必要性やリスクなどについてご理解いただけたと思います。

元気で動ける人には問題のない入浴も、高齢者にとっては多くの危険が潜んでいます。
事故のリスクを軽減するには、浴室のリフォームも選択肢の1つとなるでしょう。

介護する側、される側がどちらも安心できる浴室づくりのために、一度あらためてリフォームを検討しましょう。

浴室リフォームを検討されている方はぜひ弊社にお問い合わせください。